年収1000万円は貯金できない?収支の見直し&貯蓄方法を解説

年収1000万円は貯金できない?収支の見直し&貯蓄方法を解説

「年収1000万」と聞くと、高所得者をイメージする人がいるだろう。

しかし実態は思いのほかシビアで、年収1000万世帯でも満足に貯金もできないケースが存在することをご存知だろうか。

この記事では、年収1000万世帯の平均貯蓄や生活の実態、収支改善の方法まで、詳しく紹介する。

「収入は上がったはずなのに貯金ができない」といった人は参考にしていただき、家計改善に役立ててほしい。

 

年収1000万円の貯蓄額は?

2018年に国税庁が実施した「民間給与実態調査」によると、年間給与所得が1000万円を超える人は約200万人いるとされており、日本全体の給与所得者総数約5000万人の4%に相当する。

まずは、1000万円プレイヤーの貯蓄額をご紹介しよう。

 

年収1000万円の平均貯蓄額は?

2019年2月に発表された金融広報中央委員会の調査結果によれば、年収1000~1250万円世帯の平均貯蓄額は約2200万円と報告されている。

貯蓄額の分布は100~4000万円と幅広く、大半は年収の1~2倍の貯蓄を保有するという。

また貯蓄額が2000万円を超える世帯は、同カテゴリ内の約半数を占めていることからも、年収1000万円世帯の多くは、収入に連動して貯蓄額が高いと言えるだろう。

 

貯蓄ゼロの人が約8%もいる

一方で同調査結果では、金融資産のない世帯が約8%存在することが報告されている。

このデータは、「年収が1000万円あっても貯金もろくにできない者がいる」ということを裏付ける事実であり、1000万円という収入は、必ず高額貯蓄を生み出せるとは言い切れないのである。

 

年収1000万円は豊かな暮らしができるのか?

年収1000万円は豊かな暮らしができるのか?

年収1000万円世帯は平均すると貯蓄額も高く、富裕な生活を想像してしまいがちだが、実態はどうなのだろうか。

年収1000万円世帯の生活水準を知るために、手取り額を計算してみることとしよう。

額面の所得が1000万円だった場合、そこから差し引かれるのは「所得税」や「住民税」、「社会保険料」である。

まずは国税庁が発表している税率表をもとにしながら、1000万円の年収に対していくらの所得税がかかるのか見ていこう。

年収が900万円を超え1800万円以下の世帯に対しては33%の税率が課されている。

しかし、これはそのまま33%の所得税率をかけてしまうと、誤った所得税額を導き出してしまう。

なぜなら日本の給与所得者には、基礎控除や特別控除といった「課税所得から差し引ける金額」が設定されており、税金面での優遇措置が受けられるのだ。事業者における「経費」のようなものだと理解しておこう。

これらを差し引いて正しく所得税額を算出し、手取りを導き出してみると、年間737万〜791万円あたりが相場となる。

控除については、流行りのふるさと納税やidecoの掛け金も控除対象になるため、同じ1000万円の給与所得者であったとしても、同じ手取り額にはならない可能性がある。

詳しく自分の手取り額を知りたい方は、国税庁の「所得税の税率」を確認すると良いだろう。

参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm

 

「高い所得税」や「所得制限による手当減額」で手取りは割安

これらのことから、世帯年収が1000万円代の家庭では、所得額の割に低い手取りで生活しなければならないことが分かる。

 

独身なら少しは贅沢もできる

総務省の家計調査データ(全国平均)を参考に、年間所得額が1000万円の生活実態から、暮らしの余裕度を見てみよう。

独身の場合、月々の支出は以下の通りである。

食費 8.0万円
住居費 10.5万円
光熱費 2.2万円
家庭消耗品 0.1万円
娯楽・衣料費 4.8万円
医療費 1.4万円
交通・通信費 3.8万円
養育費 0.0万円
その他 7.0万円
貯蓄 13.6万円
51.4万円

独り身ゆえに家庭消耗品費が低いこと、養育費がゼロであることから、娯楽・衣料費を考慮しても月当り約14万円を貯蓄に回すことができている。

仮に都心にアパートを借りるなどして居住費や物価が高いケースだとしても、年に一度海外旅行に出かけられる程度の生活水準が確保されていると言える。

 

二人以上世帯は平均よりもやや余裕があるレベル

一方で二人以上世帯では、それほど裕福な生活を送る事は難しい。

同様に月々の支出額を以下に示した。

食費 8.9万円
住居費 10.6万円
光熱費 2.6万円
家庭消耗品 1.3万円
娯楽・衣料費 4.6万円
医療費 1.6万円
交通・通信費 4.8万円
養育費 1.3万円
その他 7.1万円
貯蓄 10.0万円
52.8万円

世帯人数が増えることで、光熱費や消耗品、医療費、交通・通信費などが微増する他、子供のいる世帯では当然養育費が発生するため、貯蓄額は年収からイメージするほど高くはない。

節約すれば子供を私立大学に通わせられる程度の余裕度はあるが、物価の高い都心に住居を構えた場合はそれも叶わない可能性も考えられる。

世帯人数が多い場合、年収が1000万円でも贅沢をすれば貯金もできないという実態があるのだ。

 

年収1000万円でも貯金ができない理由は?

年収1000万円でも貯金ができない理由は?

前述で説明した通り、年収1000万円は月々の支出を増やしてしまうと、貯金すらできなくなる可能性があることをお解りいただけただろうか。

ここでは、年収1000万円世帯がおちいりがちな浪費の事例を紹介していこう。

 

ワンランク上の生活が浪費につながっている

年収1000万円を高収入とイメージしがちなのは、周りだけでなく本人も同様だ。

収入が上がった際、実は手取り額がそれほど伸びていないことに気づかず、生活レベルを上げてしまうケースがある。

「ハイレベルな生活のためには良いものを使う、良いものは高額だ」という思い込みから、それまで手を出さなかったブランド物の服や靴、食材やトイレットペーパーなどの消耗品に至るまで、購入物のランクを上げてしまうのだ。

また、高所得者ありがちな「物をムダにストックしてしまう、次々に新しいものを買う」という傾向が、浪費に拍車をかける要素であることも知っておきたい。

 

非効率な自己投資は単なる浪費

年収1000万円という収入は、当人がそれに見合う努力をしたからこそ獲得できたものだ。

そういった人の場合、能力の維持向上や自分磨きのための投資を積極的に行う傾向がある。

しかし無計画な自己投資の場合、「自分に不要なセミナーを受けていた」、「予約はしたが忙しくて行けなかった」、「教材を買ったが全く活用していない」など、ためにならない出費がかさんでいた、というケースが見られる。

 

高い食費・教育費が固定費に

一般的な世帯と比べ、年収1000万円世帯には旅行などの娯楽に比較的大きな資金をまわす余裕がある。

これら頻度をわきまえた一時的な娯楽費であれば、それほど家計への負担は大きくない。

しかし、日々の食費や定常的に発生する子供の習い事に過剰な費用をかけた場合、これらの項目は定常的に家計を圧迫する固定費となるのである。

 

貯金できる余裕を生み出す改善方法は?

貯金できる余裕を生み出す改善方法は?

年収1000万円世帯は、手放しで豊かな生活が得られるわけではないものの、一般的な世帯と比較して日々の暮らしや貯蓄に余裕があるのは事実である。

よって、支出をコントロールしてムダな浪費を減らし、平均並みの生活をおくるだけで貯金は十分に可能である。

ここでは、支出見直しの手順とポイントを紹介していこう。

 

支出項目を見える化する

まず毎月の支出を全て洗い出し、可視化してみよう。

2章で紹介した支出項目を参考に、住宅費や食費、光熱費、養育費などに区分し、それぞれに毎月どのくらいの費用が発生しているかを確認するのである。

項目は自分なりにアレンジを加えても問題ないが、以下のポイントを抑えてまとめることを推奨する。

・可能な場合はより細分化する。

例)「食費」→「自炊」と「外食」に分ける、など

・各支出項目に対して、月々金額が変わる「変動費」なのか、毎月同額で発生する「固定費」なのかを分類する。

例)食費や医療費、光熱費、水道費など→「変動費」

例)住宅費、保険料、習い事の月謝など→「固定費」

・その他、急な帰省や自動車購入など、単発で発生した大型出費が識別できるようにする。

 

支出項目を予算化して管理する

各予算項目を管理する金額を決定し、予算と実績を評価できるようにする。

赤字・黒字を月次で確認できるため、翌月の支出計画を見直すことができ、「気付いたら大赤字」という事態を回避できるのである。

ただし、本当に発生する費用に対して予算を高く設定した場合、「数値上では黒字でも実際は浪費を続けている」という結果になってしまうため、注意が必要である。

予算額は、自分の生活習慣から適正額を設定することが大切なポイントだ。

ここまでのステップは、習慣のない者にとっては面倒な作業であり、急に支出を管理される家族はストレスを感じることもある。

収支見直しを始める際は事前に相談するなどして、家族の協力を得ながら行うのが良いだろう。

前述の流れで家計収支を改善したら、最後に貯蓄である。

月毎あまった金額を貯金するという方法でも良いが、予算を超過した月は逆に貯金できないことになってしまう。

安定的に貯蓄をつづけるためにも、事前に月々の貯金額を決めておき、給与引き落としによる強制貯蓄をするのが良い。

定額で強制的に貯金をつづけると、適正収支に基づいた生活スタイルに次第に順応するとともに浪費グセが改善され、安定した貯蓄が期待できるのである。

 

まとまった貯金ができたところで投資も検討

さらに家計の収支が安定したところで、貯金の代替として投資も検討してみるのも良いだろう。

通常金融資産を購入する場合、ある程度まとまった資金が必要になるが、預貯金が低い状態でも「定額購入」であれば可能である。

「定額購入」は、株式や投資信託などの金融商品を月割などで分割購入する方式で、一括購入と比較して購入期間が長期に分散されるため、資産価値の変動に伴う高値掴みのリスクが低い。

また、預貯金と比べて高い利回りを期待できるため、強制貯蓄の手段として有効である。

 

収入を上げれば貯金はしやすくなるのか?

収入を上げれば貯金はしやすくなるのか?

ここまで、収支改善により貯蓄を増やす方法を紹介してきたが、もう一つの方法として収入増による貯蓄改善も考えられる。

本項では、1000万円からさらに年収を上げる手段と注意点を紹介する。

 

年収1000万円を上回る仕事へ転職

まず、年収1000万円からさらなるステップアップが望める可能性は低い。

自力で収入を増やす手段として「既存の職場で出世する」「より高収入な職種へ転職する」、などの方法が想定される。

1000万円を超える収入を得ようとすると、限られた一部の国内大手企業で出世するか、もしくは医師や弁護士、IT分野のエキスパートなどの高い専門が必要な職種への転職が求められるため、自力での収入増は困難である。

ゆえに、年収1000万円プレイヤーが貯蓄を増やそうとしたとき、収入増よりも支出削減が現実的な方法だと言える。

 

共働きの方が手取りは高くなる

収入増を考えた場合、単身で年収1000万円を1100万円に増やすよりも、共働きで追加の100万円を稼いだほうが、最終的な手取りが高くなる。

これは、所得額によって変動する所得税率の差が影響するためだ。

よって、環境が許すのであれば配偶者が働きに出ることで、追加の100万円を稼ぐほうが遥かに容易であり、手取りも上がるというメリットがある。

 

年収増でも貯金ができない?落とし穴も…

「年収が上がればその分貯金もできるようになる」という考え方は改めなければならない。

これは、年収が1000万円に上った場合と同様、収入の増加に伴って生活レベルを上げてしまい、支出が増える可能性があるからだ。

収入が高ければその分貯蓄にまわせる余裕が生まれるのは理屈として正しいが、収支管理に無頓着な場合は、結局支出が増えるリスクが伴うことを理解しておきたい。

 

年収増の弊害には注意

収入が上がるというのは家計にとって喜ばしいことである反面、弊害を伴う場合がある。

収入を増やそうと仕事でのパフォーマンス向上に必死なあまり、体調を壊したり、家族との時間取れず家庭内不和になったりするケースである。

また、収入が上がった分で子供の教育環境を充実させた結果、子供が日々の習い事に追われてまともに家族や友人とコミュニケーションを取ることもできない、といった事例も目にする。

家計の安定や家族の幸せをもとめて努力した結果、本当に大切なことを失うことの無いよう、「そもそも何のために高収入をめざしたのか」という原点を見失わないようにしたいものである。

 

年収1000万円で豊かな生活を手に入れる

年収1000万円で豊かな生活を手に入れる

「年収1000万円」は、一般的な生活水準を送る前提であれば、金銭的余裕に恵まれた豊かな世帯であると言える。

しかし金額からくるイメージで実態を見誤ると、行き過ぎた贅沢な生活のために貯金もできないというケースに陥るのだ。

適正な収支計画に基づいて家計を管理し、収入のメリットを最大限活かした生活を送ってい

富田FP事務所 代表 ファイナンシャルプランナー
2019年度MDRT成績資格会員(8年連続MDRT成績資格会員)
ゴールドマン・サックス証券会社等、複数の金融機関にて勤務し、金融業界のノウハウを学ぶ。2007年 独立して、株式会社フォーチュンフィールド設立。富田FP事務所として、独立系FP、独立系IFAを含め、証券会社、保険会社、保険代理店、にて金融業界の知識を活してプロフェッショナルの事業を行う。

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