高額所得者でも年金は支給される?減額や支給停止を防ぐための方法も解説

高額所得者でも年金は支給される?減額や支給停止を防ぐための方法も解説

高額所得者には高額所得者ならではの悩みというものがある。年金や所得税などの社会保障に対する負担とリターンのバランスだ。

例えば所得税の場合は所得が高額になるにつれて負担が大きくなる累進課税制度を採用しているため、収入を増やすほどに税負担の割合が大きくなってしまう。

高額所得者ほど不動産投資を利用するのは、こういった負担を軽減するため、という側面もある。つまり制度を理解し、賢く立ち回ることで負担を軽減する手段が見えてくるということだ。

この記事では、年金や所得税の仕組みを紹介しながら、負担を軽くするために有効な手段をいくつか紹介していく。

今後の資産運用や負担軽減にぜひ役立てて欲しい。

 

年金が支給停止になる条件とは

年金が支給停止になる条件とは

原則、65歳を超えた方に支給される年金だが、高額な所得を受け取っている高齢者や、未だに就労している高齢者に対しては、年金の減額や支給停止といった手続きがとられる。

このような方に対しては在職老齢年金が支払われるが、在職老齢年金の金額は一律ではなく、個人の収入によって計算され、年金受給者の所得に合わせた金額が支払われるのだ。

そこで、まずは在職老齢年金がどのような基準を設けているのか理解する必要があるだろう。

年金が減額されたり支給停止になったりすることを防ぐには、在職老齢年金の仕組みを理解し、基準額を知らなければならない。

まずは在職老齢年金が減額・支給停止になる基準について詳しく見ていこう。

 

在職老齢年金の受給は所得によって制限が課せられる

日本年金機構の告知を見てみると、2019年の4月1日から年金の支給を停止する基準額が変更になったことが紹介されている。

そもそも年金の支給がストップされる基準額は、『年金支給額+総報酬月額相当額』によって算出されるが、年齢によって上限が異なるので注意したい。

在職老齢年金が支給停止される基準額について、まずチェックしてほしいポイントは以下の2点だ。

  • 60〜64歳までの在職高齢者は、基礎年金を含んだ月あたりの所得が『28万円』を超えると年金の調整が始まる
  • 65歳以降の在職高齢者は、基礎年金を含んだ月あたりの所得が『47万円』を超えると年金の調整が始まる

このように、年金の調整が始まる基準額には年齢によって差があるので、まずは自分の年齢と照らし合わせながら基準額を明らかにしてほしい。

次に、収入金額ごとに設けられた細かな計算方法について紹介していく。

 

在職老齢年金の支給額を計算する

日本年金機構が発表している60歳台前半(60歳から65歳未満)の在職老齢年金の計算方法</a>に則って、在職老齢年金の算出方法を見ていこう。

まずは60歳から65歳未満の方に向けて、在職老齢年金の計算方法を紹介する。

 

在職老齢年金の計算方法(60〜65歳未満)

60〜65歳未満の方が在職老齢年金を計算する場合は以下の計算式を当てはめてみてほしい。

自分が何番に当てはまるのか、実際に計算してみよう。

  1. 基本月額と総報酬月額相当額の合計額が28万円以下である
  2. 総報酬月額相当額が47万円以下で基本月額が28万円以下である
  3. 総報酬月額相当額が47万円以下で基本月額が28万円を超えている
  4. 総報酬月額相当額が47万円超で基本月額が28万円以下である
  5. 総報酬月額相当額が47万円超で基本月額が28万円を超えている

次に、それぞれの番号ごとに在職老齢年金の支給額を算出する。

  1. 全額支給
  2. 基本月額-(総報酬月額相当額+基本月額-28万円)÷2
  3. 基本月額-総報酬月額相当額÷2
  4. 基本月額-{(47万円+基本月額-28万円)÷2+(総報酬月額相当額-47万円)}
  5. 基本月額-{47万円÷2+(総報酬月額相当額-47万円)}

自分の在職老齢年金額は算出できただろうか。

このように、高額所得者であればあるほど在職老齢年金の支給額は減少していき、基準額を超えると支給停止になってしまうので注意してほしい。

 

在職老齢年金の計算方法(65歳以上)

65歳以上の方が在職老齢年金の支給額を計算する場合は、よりシンプルな計算方法になる。

  1. 基本月額と総報酬月額相当額との合計が47万円以下である
  2. 基本月額と総報酬月額相当額との合計が47万円を超えている

2つのうち、1に当てはまる方は全額支給となるが、2に当てはまる方は以下の計算式で在職老齢年金の支給額が調整される。

基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)÷2

算出された在職老齢年金が0以下になった場合、在職老齢年金の支給は停止されてしまう。

では、もし基準額を超える年金や所得を得ていた場合、在職老齢年金を受け取る方法はないのだろうか。

 

年金の支給停止や減額を避けるために

年金の支給停止や減額を避けるために

基準額を上回る所得があったり、基礎年金が高額であったりすると在職老齢年金の支給額が調整されてしまうことはご理解いただけただろう。

自分の支給額を概算した方の中には、このままいけば支給停止になってしまう方もいるかもしれない。

そこで、ここからは年金の支給停止や減額支給を防ぐために有効な手段をいくつか紹介する。

 

年金の仕組みを理解する

まずは年金の仕組みを正しく理解することが大切だ。

「高額な所得を得ている人は年金が支給されないらしい」というぼんやりとした意識を持っていると、対策の打ちようがなくなってしまう。

なぜなら在職老齢年金の支給額は個人の収入額によって変動するものだからだ。

自分の報酬や基礎年金額を正しく理解し、基準額を下回る金額へコントロールする意識を持たなければ、総報酬額が膨れ上がっても危機感を持てず、在職老齢年金を受け取れなくなってしまう。

どのような対策を打てばよいのか理解するためにも、まずは先ほどの章で紹介した年金の仕組みを正しく理解してほしい。

 

報酬額を目減りさせる

在職老齢年金を多く受け取るには、総報酬額が少なくなるようコントロールするのがよいだろう。

基礎年金を減らしたり、在職老齢年金の基準額を引き上げたりすることはできないので、必然的に自分の報酬額を減少させる必要がある。

もっとも簡単な方法は、標準報酬月額の算定期間である4月、5月、6月の報酬額を減らすこと。つまり、4月から6月までの報酬対象となる期間は残業を減らす工夫をすると良いだろう。

しかし、この方法だけでは総報酬額が大して減らない。

報酬額を減少させるためにおすすめなのが「個人事業主」や「経営者」になってしまうことだ。

在職老齢年金に加入するのは大企業などで雇用されている第2号被保険者に限られるが、自営業者や経営者になってしまえば年金の被保険者ではなくなるので、満額の年金を受給できる。

加えて、自営業者や経営者は第1号被保険者として国民年金に加入しなければならないが、60歳以降の方は加入義務がないため、自営業者としてどれだけ収益を上げても問題はないのだ。

 

退職すれば在職老齢年金の減額・支給停止が解除される

在職老齢年金を減額されていた方が現在の勤め先を退職した場合、在職老齢年金の減額や支給停止は解除される。

勤め続けるよりも在職老齢年金を受け取る方が良い、と判断した場合は退職してしまうのも手だろう。

このように、高額所得者には社会保障や税制の面で様々な制限が課せられている。

その最たる例が年金や所得税だ。

ここからは、高額所得者であればあるほど負担率が高くなる所得税について、節税に役立つポイントを紹介していく。

 

所得税を節税するためのポイントを紹介

所得税を節税するためのポイントを紹介

年金だけでなく所得税についても理解しておくと、高額所得者の節税効果を高めることに繋がる。

ここからは、所得税を節税するために有効な手段を大きく3つに分けて紹介していく。

所得税を節税したい高額所得者の方はぜひ参考にしてほしい。

 

節税効果が抜群の「不動産投資」

不動産投資は、数ある投資手法の中でもとりわけ高い節税効果を持つ。

不動産投資では様々な費用が必要になるが、その多くは「経費」として組み込める。

経費は売上から差し引ける費用なので、経費をふくらませることができれば売上を目減りさせて節税効果を狙いつつ利益を上げることも可能だ。

結果的に所得が減少すれば、年金や所得税といった仕組みのなかで上手く自分の利益を確保できる

不動産投資の節税効果が高い理由は、「利用できる経費の項目が多い」ことに加えて「経費の使い勝手の良さ」という2つの点によるところが大きい。

ざっくりと不動産投資で経費に組み込める費用項目としては、以下のようなものがある。

  • ローン返済額の利息金額分
  • 修繕費の積立分
  • 減価償却費
  • 登記を依頼した際の手数料

この中でも最も節税効果が高い経費は「減価償却費」だ。

実際に支払った費用でないにも関わらず経費として扱えるため、多くの不動産投資家が減価償却費の扱いには注意を払っている。

節税効果を高めるために不動産投資を始めるのであれば、ぜひ経費や減価償却費についても知識を蓄えてみてほしい。

経費を利用して節税効果を狙うのであれば、事業の経営に着手するのもおすすめだ。

 

損失を計上して節税を狙う「事業経営」

事業所得にも経費の利用は認められているので、不動産投資と同様に税金対策として企業を経営する方も少なくない。

株式会社の設立には登記や定款の設定にかかる費用として30万円ほどが必要だが、資本金は1円からでよいため、ハードルは低いと言える。

また、事業で生じた損失は本業の所得から差し引くことができる。この仕組みを「損益通算」と言い、近年増えつつあるパラレルワーカーのメリットとしても注目を集めているのだ。

自分で一から事業を興すのが難しいという方は事業承継やM&Aによる事業の引き継ぎもおすすめである。

ある程度のまとまった資金が必要となるが、株式を取得する際に支払った資金は相続税から差し引くこともできるので、資産を遺すという点でもメリットがあるだろう。

節税対策に事業を営むことで、老後の新たなキャリア形成にも役立てることができるので、ぜひ検討してみてほしい。

 

年金や所得税の仕組みを理解して所得を増やそう

 

年金や所得税の仕組みを紹介しながら、社会保障を万全に受けたり節税効果を高めたりする方法を紹介してきた。

当サイトでは、この記事で記した内容だけでなく、高所得者の方向けに資産運用やファイナンシャル関連の情報を複数掲載している。

気になるものがあればぜひ覗いて、ご自身の豊かな人生設計に役立ててほしい。

富田FP事務所 代表 ファイナンシャルプランナー
2019年度MDRT成績資格会員(8年連続MDRT成績資格会員)
ゴールドマン・サックス証券会社等、複数の金融機関にて勤務し、金融業界のノウハウを学ぶ。2007年 独立して、株式会社フォーチュンフィールド設立。富田FP事務所として、独立系FP、独立系IFAを含め、証券会社、保険会社、保険代理店、にて金融業界の知識を活してプロフェッショナルの事業を行う。

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