医師賠償保険って本当に必要?種類や選ぶ時に押さえておきたいポイントについて

医師賠償保険って本当に必要?種類や選ぶ時に押さえておきたいポイントについて

保険に加入しようと考えている医師が、忘れずに検討すべきことが、万が一医療訴訟で訴えられて時に備えるための医師賠償保険である。

最近は勤務医であっても加入している人が増えていることをご存知だろうか?医療訴訟は自分には関係ないと考えているかもしれないが、今後医療訴訟が増えていく可能が高いため、決してあなたも他人事ではないのだ。そこで今回は医師賠償保険に関して詳しく解説していこう。

 

医師にとって保険で備えるべき万が一の時とは?

医師にとって保険で備えるべき万が一の時とは?

 

保険の役割とは?

人生において、万が一の時のためにお金を準備できるのが保険である。万が一の時=人生で大きな出費が予測されるタイミングといえるだろう。人生で大きな出費が予測されると聞いた時に思い浮かぶものはなんだろうか?

子供の教育費や住宅資金、定年後の生活費、他には病気で仕事ができなくなった時や、あなたが亡くなった時ではないだろう?一般的に保険では教育費の準備のために学資保険。定年後の生活費の準備として年金保険。病気になった時のための医療保険やがん保険。あなたが死亡した時に家族の生活費を残すための生命保険。

このように保険は人生における万が一の時に備えて、大きなお金の準備する役割を担っているのだ。そのため一般的な会社員であればこれで十分だといえるが、もしあなたが医者ならこれだけでは充分だと言えないだろう。

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医師にとって保険で備えることができる万が一の時は?

医師にとって万が一の時とは、医療訴訟に巻き込まれた時である。

ここ最近、医療機関が患者から訴えられるケースが増えてきていることを、あなた自身も肌で感じているのではないだろうか?そのため多くの医療機関では医療訴訟に備えて、「病院賠償責任保険」と呼ばれる賠償責任保険に加入していることはご存知だろうか?

病院賠償責任保険は、病院や診療所の開設者が被保険者となり、医師や看護師など使用人による医療行為により患者に障害等が発生し、患者または遺族等から損害賠償請求を提訴された場合、賠償責任を補償する保険である。

 昔は医療訴訟が起こされたとしても、病院が被告となり、病院が加入している保険でカバーすることができていた。

しかし最近は賠償額の増加、および経営不信により医療機関に支払い能力がないため病院と医師を共同被告とし訴えるケースや、医師個人が被告になるケースも増えている。これらの理由から最近は勤務医であっても個人で賠償責任保険に加入を検討する医師が増えているのである。

 

医師が保険で備えるべき医療訴訟のリスクはどのくらい

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医療訴訟の現状は?

最高裁判所の医療関係訴訟に関する統計によると、平成16年(2004年)に医療訴訟の新規件数が1,110件とピークを迎え、その後平成21年(2009年)まで732件と減少傾向にあった。

しかし平成28年(2016年)は870件、平成29年(2017年)は857件と前年度から13件減少しているが、平成25年(2013年)からは800件台を推移している。

2017年の既決案件の傾向をみると和解が全体の54.6%と最も多く、次に判決が32.5%、取下げが3.5%という内訳になっている。この結果からもし患者から訴えられた場合、医療従事者側に金銭的支払いが求められる和解で終わるケースが多いこと予測できるのである。

 

医療訴訟が増えている3つの原因

なぜ昔に比べてこれほどまで医療訴訟が増えてしまったのだろうか?次は医療訴訟が増えた原因を一緒に考えていこう。

 

医療や医療訴訟に関する情報が手に入りやすくなった

昔は患者側が病気や治療法に関する情報を手に入れることが困難だったが、今はインターネットの普及によって比較的簡単に世界中からいろいろな情報を集めることができるようになった。

医療訴訟に関してもインターネットからだけでなく、メディアでも多く取り上げられていることから医療訴訟に関する周囲の理解が高まり、訴訟を起こすハードルが低くなってことも要因の一つと言えるだろう。

 

医療の進歩によって副作用などのリスクが高くなった

医療技術の進歩によって、今までは治療が困難とされていた病気も新しい医療機器や医薬品の登場によって治療できるようになった。これらの新しい治療方法は高い効果が期待できる反面、リスクが伴うため、病院側は必ず治療を行う前に患者側に説明し同意を得ている。

しかしながら、事前に同意を得ているにも関わらず副作用が原因で死亡してしまった時や、重度な後遺症が残ってしまった時に訴訟に発展してしまうケースが増えている。医療訴訟において、この説明義務違反を問われる事案が最も多いのが現実なのだ。

 

医師への信頼が揺らいできている

昔に比べると医師に対する信頼が揺らいでいることも、医療訴訟が増えてしまっている原因の1つだと考えられるだろう。

 

もしあなたが医療訴訟で訴えられたら?

医療訴訟は一般的な訴訟と比較して、専門的知見が必要な訴訟のため審理期間に2年と他の訴訟に比べ長くなっている。また訴訟の約半数は和解で終わり、残りの約4割は判決へと進んでいく。判決へと進んでしまった場合、敗訴になってしまうケースは約2割程度と言われている。敗訴になる確率は低いように感じるが、裁判になり敗訴してしまった場合、医療訴訟の場合賠償金額が億単位になってしまうことも、珍しいことではないのだ。

 

医療訴訟のために備える医師賠償保険の種類

医療訴訟のために備える医師賠償保険の種類

医療訴訟に備えるための医師賠償保険には、日本医師会医師賠償責任保険、病院賠償責任保険、勤務医賠償責任保険に3つがある。それぞれの保険の特徴について見ていこう。

 

日本医師会医師賠償責任保険

日本医師会医師賠償責任保険は、日本医師会が契約者となり日本医師会会員を対象とした医師賠償責任保険である。

日本医師会会員の開業医の場合、自動的に加入することになっている。勤務医の場合は加入できないと思われている人も多いが、勤務医でも加入することが可能なのだ。保険料は医師会費から支払うので会員の分類によって金額が変動する。

年会費は、研修医が21,000円。研修医を除く30歳以下の勤務医が39,000円。研修医を除く30歳超の勤務医が68,000円である。ただし免責金額が100万円のため、もし医療訴訟を起こされて損害賠償が発生した場合、100万円の自己負担が発生しまうのだ。

1事故あたりの損害賠償金の補償限度額が1億円で、医師が退会、もしくは死亡した場合でも特例事例として保険期間終了後、10年以内に損害賠償請求を受けた場合でも、この保険は適用される。

 

病院賠償責任保険

病院や診療所内の医療事故で、患者が病院を損害賠償請求で訴えた場合、その損害賠償責任を負担することで被る被害を補償するのが、病院賠償責任保険はである。

病院賠償責任保険における被保険者は病院や診療所の開設者だ。そのため医療訴訟の場合、病院と担当した医師が共同被告として訴えられることがあるが、病院賠償責任保険では医師個人の損害賠償に関しては補償されないのである。

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勤務医賠償責任保険

勤務医個人が医療訴訟に訴えられた場合に備えることができるのが、勤務医賠償責任保険だ。最近は病院の経営破綻している場合など、原告側が担当の医師を訴えるケースが増えつつあるため勤務医賠償責任保険のニーズが高まりある。

勤務医の場合は常勤、非常勤関わらず勤務先が複数あるケースも多く、勤務医賠償責任保険は複数の施設の事故に対しても補償されるケースが多いようだ。

 

医師賠償保険選び方のポイントは?

医師賠償保険選び方のポイントは?

 

年齢別の医師賠償保険の選び方のポイント?

医師が個人的に医師賠償保険に加入する場合日本医師会が運営する日本医師会医師賠償責任保険、もしくは民間企業が運営する勤務医賠償責任保険のどちらかだろう。そこで日本医師会医師賠償責任保険と勤務医賠償責任保険として人気の高い民間医局を比べながらどのように選べばいいか紹介していこう。

 

初期研修医の場合

初期研修医の場合は研修医の期間は日本医師会医師賠償責任保険が保険料からいうと費用を抑えることが可能である。研修医であれば1事故あたりの補償金額が1億円のプランで、年間保険料を21,000円まで抑えることができるのだ。もし免責金額を0円にしたい場合はプラス4,000円で可能である。

 

30歳以下の研修医の場合

補償金額を1億円準備したい場合は日本医師会医師賠償責任保険(免責金額が100万円)の場合年間保険料は39,000円、免責金額が0円の場合の年間保険料は43,000円である。補償金額を1億円準備したい場合、民間医局の1億円プランの年間保険料は41,660円である。少しでも保険料を抑えたいなら、日本医師会医師賠償責任保険(免責金額が100万円)を選択するといいだろう。

もし補償金額が自分で選択したいと考える場合は民間医局の保険がおすすめだ。民間医局であれば1事故あたりの補償額を3,000万円、5,000万円、1億円、2億円と4つのプランから選ぶことが可能だ。

 

30歳以上の研修医以外の場合

補償金額を1億円準備したい場合は日本医師会医師賠償責任保険免責金額が100万円の場合の年間保険料は68,000円、免責金額が0円の場合の年間保険料は72,000円である。

補償金額を1億円準備したい場合、民間医局の1億円プランの年間保険料は41,660円のため保険料を抑えたいなら、迷わず民間医局の医師賠償責任保険を選択することになるだろう。

 

保険金額の決め方

いざ保険に加入をしようと考えた場合、医療訴訟に対していくら準備すべきか悩みどころだ。保険料を決めるには、実際に訴訟を起こされた場合、どの程度の支払いリスクがあるかを知る必要がある。

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医療訴訟における医師個人の支払いのリスクは?

医療訴訟の場合判決に至ることなく、医療従事者に対して金銭的な支払いが求められる和解で終わるケースが過半数を占めている。

医療訴訟での原告側の勝訴率は20%前後といわれているので、医療訴訟を起こされた場合、金銭の支払い義務が発生せずに勝訴する割合は30%にも満たさないのが現実だ。

勤務先の病院が高額の損害賠償金を支払えるほどの保険に加入していない場合、病院が支払えない賠償金の差額の支払いの義務が担当医に発生してしまうのだ。

 

医療訴訟の賠償金の相場

医療訴訟における賠償金には後遺障害慰謝料、付き添い看護費、入院慰謝料、休業損害、死亡慰謝料などいろいろな賠償金がある。

患者が死亡した場合の死亡慰謝料の相場は少なくとも2,000万円、もし患者が家計の中心なら2,800万円が相場である。過去の高額な医療訴訟の賠償金の事例には、平成15年大阪府でのクモ膜下出血の見逃しでの損害賠償金額の総額は1億6000万円だったことはご存知だろうか?

この事例の場合勤務先の病院に支払い能力がなければ、担当医に対して高額の損害賠償義務が発生してしまう可能性が考えられる。訴訟が始まってしまうと審理に約2年間は拘束されてしまい、かなりの精神的ストレスを受けることが予測できるだろう。

だからこそ訴訟を起こされてしまった時に、金銭的不安を少しでも軽減させたいと考えるなら保険金額を1億円以上のものを選んでおく方が安心だと言えるだろう。

 

最後に

最後に

医者にとっては医療訴訟に訴えられてしまった時も人生の中で万が一の時だと言えるだろう。

だからこそ安心して仕事をするために備えておくことが、毎日の仕事に集中して向き合うことに繋がるといえる。

もしまだ医師賠償保険に加入されていないのなら、この機会に検討してみてはいかがだろうか?

富田FP事務所 代表 ファイナンシャルプランナー
2019年度MDRT成績資格会員(8年連続MDRT成績資格会員)
ゴールドマン・サックス証券会社等、複数の金融機関にて勤務し、金融業界のノウハウを学ぶ。2007年 独立して、株式会社フォーチュンフィールド設立。富田FP事務所として、独立系FP、独立系IFAを含め、証券会社、保険会社、保険代理店、にて金融業界の知識を活してプロフェッショナルの事業を行う。

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